『次の世代に何かを残す』出会い

HALのvisionは『次の世代に何かを残す』です。
このvisionを実現するため、我々HALは、ビジョンの方向が同じ企業、団体、個人と一緒に活動していきたいと考えています。
本コンテンツはその対談シリーズ第2弾。
CTOの片岡が、HALのビジョンに共感して下さる方をお迎えして、対談をします。

今回は、滋賀県でバラづくりをされている、 ROSE FARM KEIJI、また株式会社 Rose Universe代表 の國枝健一さんに、活動の一つのテーマでいらっしゃる“循環”について、お話しを伺いました。
國枝さんは、土づくりからこだわってバラ作りをされるバラ農家でありながら、国内外に向けた和ばらの進出や、花業界に変革をもたらす 新しい企画やサービスを提案されています。

― 大きな循環を意識して ―

片岡)
「國枝さんがキーワードにされている”循環”っていうのは、生態的な意味のものですか?」

國枝)
「そうですね。」
「僕が日頃から思うのは、”とどまること”って、ないと思うんです。」
「全部はこう、めぐり、流れていて。淀めば淀むほど、良くない。腐敗してしまう。」
「”凪”の状態って、無いと思うんです。」
「正のスパイラルも不のスパイラルも、万物には必ずこの循環のバイオリズムがあるなと。やはり何でも、まわしていく必要があると思う んです。」

片岡)
「なるほどーー。循環。」
「これは、僕にとっても昔からのテーマだったりします。」
「この循環のなかに、僕らはある、っていう、そういうことですかね。」

國枝)
「そうなんです。」
「原理原則として、万物は自然の摂理のままに、各々、どこかしらに自分のパートを持っていると思うんです。」

ひとも自然のいち部分。全ての生きものはめぐり巡り、大きな循環のサイクルの中で、役割を持って生きている。
生物が連綿と紡いできたこの循環のサイクルは、どのような進化を通し、ここまでやってきたのだろうか。

― 変化の過程では、ハードが変わる時、ソフトが変わる ―

生物の進化の過程を辿れば、隕石落下など外要因的な変化が進化をもたらしていることがわかる。生命は自然の循環の中で変化に 対応することで進化を遂げている。この循環の戦略によって生命は次の世代に残っていく。
ハード面の変化は、有る時突如として本質的な変化を生んできた。それは、ひとの技術も例外ではない。

國枝)
「バラの生産で言えば、土で作るとか栽培方法とかはソフトで、温室はハードなんですが、本当にレベルが上がる時っていうのは、 ハード面が変わる時なんですよね。」

片岡)
「興味深いですね。おもしろい話があります。」
「システム開発の技術って、指数関数的に伸びているんです。」
「この変化って、はじめは量的な変化なんです。そして、それはある時を境に、質的な変化になっていくんです。」

「たとえば、ウォークマンの登場って、音楽プレイヤーをただ小さくしていっただけっていう量的な変化なのだけれども、 これが、持ち歩ける大きさになったとき、音楽というものの使い方が変わる。あるいは生活が変わった。」
「ハード面の変化は一定量を達すると、ある時点を境に、質的な変化になるんです。」
技術は緩やかな曲線を描いて上昇して行くのではなく、有る時大きく変貌を遂げる技術革新が起きる。 この技術革新によって、技術は進歩していく。

片岡)
「その意味で、國枝さんがいま新しく作っていらっしゃるハード(温室)は、どんな変化をもたらしていくのかとっても楽しみですね。」

― 本質的なものは美しい ―

循環のサイクルの中で、ハード面の変化を自らで引き起こし、進化をもたらしていこうとする國枝さんと、文明のITの大きなうねりに乗って、 変化していく市場や技術を受け入れながら技術を咀嚼し、残せる仕組みを残していくHAL。
フィールドも手段も異なる両者が、目指していくものとは。

國枝)
「ぼくが目指している美というのは、”引く方の美”っていうものなのですが。」
「僕は美しいというのには二つあって、足す美しさと、引く美しさがあると思ってます。」
「いわゆる人工的なものとか、興奮するとかエネルギーをもらうような。そういうのは、足す美の方だと思うんですが。」
「僕が目指す、引く方の美っていうのは、心が落ち着く美というか、ニュートラルというか。人の本質に、「ぽん」とはまるような。」
「それは機能美の美であって、本来の生態的な原点にはまるような、本質的な美だと思っています。」

片岡)「なるほどね。」
「”機能美”っていうのは、実は僕の中でもキーワードになっていて、多分僕がこの話をするときって、やっぱり”流線型”っていう形の話かも しれないのだけど。」
「飛行機とか、スポーツカーとか、こう”速い形”っていうものは、國枝さんでいう”引く方の美”だと思うんですが、無駄なものをそぎ落とした、 ”流線型”の綺麗な形というものになる。」
「綺麗っていうのは人の主観なんだけど、この早く走るための流線型っていう美しい形は、流体力学的には理に適っているんですよね。」

國枝)
「そうなんです。」

― 大きな循環のなかで、目指すもの ―

本質を突き詰めていくと、やはりそれは単純化され、よりシンプルなものとなる。
バラづくりでも、システムづくりでも、目指すのは、無駄なものをそぎ落とした、より本質的なもの。

國枝)
「いいものをつくろうとすればするほど、それは単純化されたものとなるんです。農業全体も同じと思いますが、バラでもそうなんです。」
「いいものをつくろうとして、肥料を与えれば与えるほど、逆に良いものでなくなっていくっていう。」

「本当に美しいもの・本当にいいものを突き詰めていくと、実は、野とか山とか、自然に生えているものの方がよっぽど良いんですよね。」

片岡)
「なるほどね。僕も30年くらいシステムをやっていて、結局やっぱりそこなんですよね。最低限のものに絞った方がいいっていう。」
「システムの世界は、常に新しい技術が生まれているんです。お客さんもユーザも欲しているし、技術者も、試したいものがでてくる。 やっぱりエンジニアは、昨日よりも向上していたいっていうのがあるから。」
「それでも、作りすぎないっていうのが、大事だと思っています。本当に必要なその筋っていうのは何か?それを見極めるのが重要だと思って います。常に変化する市場と技術のなかで、残って行ける仕組みを残すには、必要十分な機能に絞ること。そうすることで、その技術はより使い やすく、美しく、機能的になるし、次の世代、さらにその次の世代へも残って行けるものになるんです。」
「実際後世に残っていくものって、やっぱりシンプルで、本質的なものなんですよね。」

國枝)
「そう思います。」

― 次の世代へ、”残せる仕組みを残したい” ―

目指すのは、本質的なもの。シンプルなもの。そんな國枝さんとHALが、大きな循環のサイクルのなかで、
各々の役割の中で、次の世代へ残していくものとは。

國枝)
「新しく作る温室では、生産施設という枠を超える温室をつくろうと思っています。」
「価値の置き方が、生産のためだけでなく、空間自体が価値になるような。」
「そこでは、作物をつくるときに、良い水をつくって、次のセクションとして林業があるんです。山があって里があって海があってっていう、 循環のサイクルの中でも機能しなくてはならないと思っているので。」

片岡)
「いいですね。山から里から海へ。良い水を自然の循環のサイクルへ戻すっていうことなんですね。」

― 大きな循環のなかで、次へのバトンを繋いでいく ―

ひとつのものがそこに残り続けることは、自然の循環の流れの中では有り得ない。万物は常に進化していく。

片岡)
「僕らも、『次の世代に何かを残す』っていうビジョンを掲げているんですが」
「何かを残すっていうより、残せる仕組みを残したらいいんじゃないかと思っています。何かこう、変わって、変わって、変わっていける、 その最初をつくる、みたいな。」
「僕らはシステム屋さんなので。ITをフィールドに、様々な技術を咀嚼して人が使えるようにしていって、残るべきものが循環の中で成長し 進化して行けるようにしたいんです。僕らの持っているPDCAっていう循環によって、次の世代へ残り進化していく、そういう循環の仕組みを 作って行きたいですね。」

國枝)
「いいですね。」
「なんか、僕たちの手に負えない、大きな流れっていうのがあると思うんですが、そのきっかけになってるのは、実は、その自分たちの目に 見えない小さなことだったりすると思うんです。たとえば、僕の原点は、滋賀県のあの土地に生まれたこと。」
「各々は、自分に与えられたフィールドっていうものがあって。その中でも、この大きな循環のサイクルを意識するだけで、何かそれが、 さっきおっしゃったように本質的な意味では、次へのバトンを渡していけることだと思っています。」
「そしてそれが、少しづつ増えていく。良い影響が。」

片岡)
「大きな循環のなかで、その残していく何かは、それぞれ違ったものなんでしょうね。」

國枝)
「そうですね。それぞれのフィールドで、循環のなかで、残していきたいですね。」

生命は自然の循環の中で変化に対応して進化してきた。
子孫を残し世代交代していく循環、エコシステムとしての循環。その戦略によって生命は次の世代に残っていく。
その多様性のなかで、残していく何かは個々ぞれぞれ。

大きな循環のサイクルのなか、私たちHALが「IT」をフィールドに、残していくもの。
それは、変化していく市場や技術革新を受け入れながら、PDCAという循環によって次の世代へ残っていき進化していくような技術や組織。 そして次の世代や、さらにその次の世代が何かを残していけるような、そういう循環の仕組み。

循環のめぐりにそって、次へのバトンを繋いでいく。
HAL は、次の世代へ残したい大切なものが、その先も成長し循環して残って行く仕組みを、IT を通じて、残していきたいと思います。